会社でExcelを使わない日は、ほとんどありません。
売上表、請求書、顧客一覧、進捗管理、集計表。毎日の仕事のどこかに、Excelが入っています。
では、そのExcelの中で「何が起きているか」まで分かっている人は、どのくらいいるでしょうか。

入力する場所は分かります。でも、どこに関数が入っているのかは分かりません。

間違ってセルを消したら、別のシートまでエラーになりました。
どこを直せばいいのか分かりません。

Excelが得意な人に聞けば直ります。でも、自分では触るのが怖いです。
たぶん、珍しい話ではありません。
キーマンズネットの2026年調査では、勤務先でExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ツールを利用している人は97.6%でした。
ほとんどの会社員が使っている。
でも、ここには大きな差があります。
Excelを使えることと、Excelの仕組みを理解して直せることは、同じではありません。
私自身、不動産管理の仕事で毎月4時間以上かかっていたExcel業務がありました。
これを、約10分にまで短縮できました。
速く入力できるようになったからではありません。
難しい関数を全部覚えたからでもない。
AIを使いながら、複数のExcelに散らばっていた必要な情報を1つのExcelへまとめました。
変えたのは、操作ではなく仕事の流れです。
4時間を10分にした一番の理由は、Excelを速く操作できるようになったことではありません。複数のExcelを行ったり来たりする仕事そのものを減らしたことでした。

Excelをもっと速く使う。難しい関数を覚える。そこから考えなくてもいい。
仕事にExcelを合わせ直す。
AIが使えるようになった今、Excelが苦手な人にも、業務そのものを見直せる可能性が広がっています。
この記事でわかること
- なぜ会社のExcelは「分かる人しか触れない」状態になりやすいのか
- 私の4時間の業務が約10分になった理由
- AIで関数・Power Query・VBAとの付き合い方がどう変わるのか
- Excel業務を見直すなら、最初に何を見るべきか
企業の97.6%が使うExcel。でも、全員が使いこなしているわけではない
キーマンズネットの2026年調査では、ExcelやGoogleスプレッドシートなどを「全く使っていない」と答えた人は2.4%だけでした。
補助的な利用まで含めると、97.6%が表計算ツールを使っています。
しかも用途は表計算だけではありません。
集計、資料作成、データ分析、帳票、進捗管理。
会社のさまざまな仕事にExcelが入り込んでいます。
だからこそ、別の問題が出てきます。
「使っている人」の多さに対して、「作れる人」「直せる人」は同じようには増えない。
たとえばVBA。
VBAは、Excelの操作を自動化するときに使われるプログラムです。
マクロと言えば、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
2022年に全国の30〜50代会社員1,010人を対象に行われた調査では、「大体は自分で好きなようにVBAを作成できる」と答えた人は9.1%。一方、「作成できない」は55.3%でした。
少し前の調査なので現在と単純比較はできません。
それでも、Excelを使う人の全員が高度な自動化までできるわけではないことは分かります。
普通に入力する。SUMで合計する。表を作る。ここまではできる。
ところが、複雑な関数、Power Query、VBAへ進んだ瞬間、急に分からなくなる。
そして会社では、少しずつ「Excelが分かる人」に仕事が集まっていきます。
なぜ会社のExcelは「触るのが怖いExcel」になってしまうのか
最初から、誰にも触れない複雑なExcelを作ろうとする人は少ないはずです。
最初は単純な表だった。あとから関数を足す。別シートを追加する。マクロを作る。
担当者が変わり、さらに修正する。
そうやって何年も使っているうちに、いつの間にか「誰も全体を説明できないExcel」ができあがります。
関数は見えないまま動いている
セルに「125,000」と表示されている。
見た目だけでは、その数字が手入力なのか、別のセルを足した結果なのか、別シートから取得した数字なのか分かりません。
そこで起きるのが、会社でよくある事故です。

金額を直そうと思って入力しただけなのに、ほかの数字までおかしくなりました。
実は、そのセルには関数が入っていた。数字を直接入力した瞬間、関数は消えます。
さらに別のセルが計算結果を使っていれば、影響は一つのセルだけで終わりません。
でも、Excelに慣れていない人から見えるのは結果だけです。
「昨日まで動いていたExcelが、今日は壊れた」
原因までは見えません。
操作した人だけの問題でしょうか。私は違うと思います。
どこへ入力してよくて、どこに計算の仕組みがあり、何と何がつながっているのか。
そこが分かりにくい状態になっていること自体が問題です。
『そこは触らないで』が増えてきたら、一度Excelの仕組みを整理した方がいいサインです。触ってはいけない理由まで分からない状態は、かなり危ういです。

ファイルが増えるほど、仕事の流れも見えなくなる
さらに厄介なのが、Excelの数です。一つの仕事なのに、開くExcelは一つではない。
Aを開いて情報を確認する。閉じる。Bを開いて、同じ人や同じ案件を探す。
また別の数字を確認する。次はC。最後に照合する。
一回なら数分です。でも、毎月何十件、何百件と繰り返したらどうでしょう。
「どのExcelの、どこを見るのか」は、ファイルの中ではなく担当者の頭の中に残りやすい。
つまり、ファイルが増えるほど仕事はExcelの中ではなく、人の記憶でつながっていくのです。
「Excelが得意な人」がいなくなると直せない
便利なExcelほど、皮肉なことがあります。マクロのボタンを押せば集計できる。Power Queryを更新すれば最新データになる。複雑な関数が自動で計算してくれる。
普段は便利です。問題が起きるまでは。
エラーになった瞬間、解決方法が「○○さんに聞いて」になる。
その人が異動していたら。退職していたら。
便利だったExcelが、一気に「誰も触れないExcel」へ変わります。
本当に怖いのはExcelそのものではありません。
業務の仕組みが、一人の頭の中にしかない。
私の4時間の業務が10分になった理由
私にも、毎月4時間以上かかるExcel業務がありました。
不動産管理の入金照合です。難しい仕事だったわけではありません。
問題は、必要な情報が複数のExcelに分かれていたことでした。
一つ開く。必要な場所を探す。数字を見る。別のExcelを開く。同じ対象を探す。確認する。また戻る。照合する。そして次の案件へ。毎月、同じ繰り返しです。
私は最初、「どうすればもっと速く作業できるか」を考えていました。
ところが、AIを使いながら業務を整理していくうちに、別の疑問が出てきたんです。
そもそも、なぜ私は毎回いくつものExcelを開いているんだろう。
必要なのはExcelを開くことではありません。欲しいのは、そこに入っている情報です。
だったら、必要な情報を一つの場所へ集めればいい。
複数のExcelに散らばっていた情報を整理し、1つのExcelで確認できる形へ変えていきました。
4時間以上。それが、約10分になりました。
ここで減ったのは、タイピングやクリックの時間ではありません。
人が情報を探し回る仕事そのものです。
以前は、人がExcelを探しに行く。整理した後は、必要な情報が一つの場所に集まる。
同じExcel業務でも、やっていることはまるで違います。
一つの関数を覚えて数分短くするより、仕事の流れを変えた方が大きく時間を減らせる場合がある。
私が4時間から10分になった理由は、そこでした。
AIを使っているのに忙しさが減らない場合は、AIで効率化したのに、なぜ忙しさは変わらない?|見直すべきは業務の流れもあわせて読むと、作業単体ではなく仕事全体を見る考え方が分かります。
AIが入ると「関数を知らないからできない」が変わる
ここまで読むと、「でも、自分にはそんなExcelを作れない」と思うかもしれません。
以前なら、その通りだった場面も多かったと思います。
複数のExcelを一つにまとめたい。そう思っても、次に待っているのが専門用語です。
VLOOKUP? XLOOKUP? Power Query? VBA?何を使えばいいのか分からない。
そもそも、何と検索すればいいのかさえ分かりません。
Power Queryは、複数のファイルや表からデータを取り込み、必要な形に整えたりまとめたりできるExcelの機能です。
知っている人には便利。でも、知らない人には名前すら出てきません。
AIが変えたのは、ここです。

関数の名前もPower Queryも分かりません。それでもAIに聞けるんですか?
聞けます。最初から「正しいExcel用語」を知っている必要はありません。
たとえば、
「毎月3つのExcelを開き、社員番号を見ながら金額を確認しています。必要な情報を1つにまとめたいのですが、どんな方法がありますか?」
これでいい。先に伝えるのは機能名ではなく、今やっている仕事です。
そこからAIに、関数でできるのか、Power Queryが向いているのか、VBAが必要なのか、あるいはExcelの構成自体を変えた方がいいのかを整理してもらえます。
Microsoft SupportのExcel Copilotの案内でも、自然な言葉で要求を伝え、数式・表・グラフ・ピボットテーブルなどを使ってブックの作成や編集を進められることが説明されています。
2026年のキーマンズネット調査では、Copilot in Excelを「利用したことがない」と答えた人が66.1%でした。一方、利用している人では「データ分析」と「関数や数式の作成」がそれぞれ21.0%。
AIがあるから、Excelの知識が不要になるわけではありません。でも、「XLOOKUPを知らないから、ここで終了」ではなくなりました。
以前は『XLOOKUPを知らないからできない』で止まりました。
今は『何をしたいか』をAIへ説明して、必要な方法を一緒に探せます。
私は、そこが一番大きな変化だと思っています。

覚えている関数の数より先に、説明できる仕事の内容。ExcelとAIの組み合わせで変わったのは、入口です。
でも、AIが作ったExcelなら安心なのか
もちろん、答えはNOです。AIも間違えます。
数式を作っても、参照する列が違うかもしれない。
Power Queryの手順が、自社のデータではうまく動かない場合もあります。
VBAが動いたとしても、想定していない行まで処理する可能性は残ります。

結局、正しいか確認できないなら、Excelが苦手な人には無理では?
全部を理解してから使う必要はありません。ただし、自分で確認できる大きさまで小さくして試す。
ここは必要です。
1000件をいきなり処理せず、まず10件。元ファイルを直接変更せず、コピーで試す。変更前と変更後の数字を見比べる。
Microsoftも、Copilotが生成する数式や分析結果を確認・編集・検証するよう案内しています。
また、会社のExcelには個人情報や社外秘の情報が入っている場合もあります。利用するAIへ何を入力してよいのかは、会社のルールや契約しているサービスの条件を確認してください。
Excelのエラーなど、仕事で分からないことをChatGPTへ聞くときの考え方は、仕事で分からないこと…まずChatGPTに聞くのはアリ?ナシ?で詳しく説明しています。
AIに完成品を任せるのではなく、『どこを確認すればいい?』まで聞く。
Excelが苦手な方ほど、この使い方が役立ちます。

Excel業務を変えたいなら、難しい関数から勉強しなくていい
では、自分のExcel業務はどこから見直せばいいのでしょう。VBAの本を買うところから始めなくていい。Power Queryを最初から勉強する必要もありません。
見るのは、今日の仕事です。
一つの仕事で複数のExcelを開いていないか。同じ数字や名前を何度も入力していないか。
毎月、同じ場所を探してコピーしていないか。
そして「○○さんしか直せないExcel」がないか。
一つでも思い当たれば、AIへ相談する題材があります。
毎月、複数のExcelを開いて同じ社員番号を探し、金額を照合しています。
作業時間を減らしたいです。
まず現在の作業を整理して、無駄な工程がないか確認してください。
その後、関数・Power Query・VBAなど、使えそうな方法を初心者向けに比較してください。
「Power Queryのコードを書いて」と始めなくても構いません。どのExcelを開くのか。どこから数字を持ってくるのか。どこへ入力するのか。最後に何ができれば仕事が終わるのか。
AIへ説明するために仕事を言葉にしてみる。その時点で、今まで気づかなかった無駄が見つかることもあります。
まとめ|Excelを制すものが業務を制す
企業の97.6%が使うExcel。だからこそ、Excelを見直すことは、一つのソフトを便利に使うだけの話ではありません。その中には、毎日の仕事そのものが入っています。
私の4時間かかっていた業務が約10分になったのも、難しい関数を覚えたからではありません。複数のExcelに散らばっていた情報をまとめ、仕事の流れを変えたからでした。
AIが使えるようになり、Excelが得意な人しか改善できなかった領域にも入りやすくなっています。
では、何から見るのか。難しい関数ではありません。
今日、何度も開いたExcelです。
そこに、毎月繰り返している仕事を減らすヒントがあるかもしれません。
ExcelやAIを仕事で使えるようになりたい方へ
生成AI未来創造スクール 大阪校では、ChatGPTなどの操作方法だけを覚えるのではなく、実際の仕事を題材にAIの使い方を考えています。
「Excelは使っているけれど、関数は苦手」「毎月同じ作業を繰り返している」「自分の仕事なら、AIをどこに使えるのか知りたい」
そんな方は、普段困っている仕事をそのまま持ってきてください。60分の無料体験レッスンでは、実際の仕事を聞きながら、AIを使えそうな場所を一緒に整理します。
生成AI未来創造スクール 大阪校では、ChatGPTやExcelを実際の仕事で使いたい方に向けた60分無料体験レッスンを行っています。
「毎月同じExcel作業を繰り返している」「関数は苦手だけれど、仕事の流れを見直したい」という方は、普段使っている業務をそのまま持ってきてください。
AIを使えそうな場所を一緒に整理します。
大阪・京橋でAIを学びたい方は、お気軽にご相談ください。
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